After the Typhoon
By Morishin
記録的な大型台風が日本列島を横断した9月の下旬、今シーズンの締めくくりとなる遠征に出掛けた。

台風が通過した直後であることや、その被害も多数出ていることもあり、中止にするべきか出発の2日前まで悩んだ。また、天気予報によると、この台風の後は急激に秋が深まるということで、今回のタイミングを逃すとシーズンが終了してしまう気がして、台風の影響が強く残っているとは思いつつ釣行する方に気持ちは傾いていた。

一方、これだけ大きな台風が直撃した後なので、人が少なくてフィールドを気兼ねなく回ることができるのではないか、という淡い期待も抱いていた。


台風が通過する前まで30℃を越える真夏を思わせるような暑い日が続いていたが、通過後は昼間でも最高気温は25℃を超えず、最低気温は15℃を下回るようになっていた。

遠征初日も、空は快晴で日差しにもまだまだ夏の力が感じられたが、北から吹いてくる風は肌寒く、大陸からの高気圧から冷たい空気が流れ込んできているのがはっきりと分かった。季節は完全に秋モードになっていた。

移動中の車のラジオからは富士山に初冠雪が観測された言っており、これはまずい展開になるなと予感した。

最初に訪れたフィールドはハスとウキクサのある小さな野池で、窪んだ位置にあるために風の影響も少なく、インレットも無い。特に今回は、大雨による濁流などが流れ込んでいないフィールドを選んで回ることにした。

また、増水の度合いをチェックするために護岸のコンクリートについている水位の変化を示す水の後を確認し、増水の度合いが大きければNGと判断し、キャストするまでもなく移動する。

運よく、最初に入った野池は大きなインレットが無いので、水位の変化も無さそうだ。


真夏であれば強い日差しを避けるように、高低差のあるハスのジャングルのエッジを攻めたり、厚いヒシのカバーの小さな隙間を狙うが、今回は水温が上がりやすく、小魚などのベイトが集まりやすいオープンエリアに隣接するカバーのエッジや、まばらになっているハスの周囲などへアプローチし、やる気のある雷魚を誘ってくことにした。

毎回のことだが、シーズン中に何度も訪れることが無いため、雷魚の有無、活性の高低、フィールドコンディションの良し悪しをチェックする。

できれば、スピーディにチェックをし、状況判断をできるだけ早く行いたい。しかし、気温、水温が急激に低下していることや、尚且つ秋モードに入っている雷魚には速い動きではアタックに持ち込めない。出来る限りスローに動かし、フロッグを見せる時間を作ってやる必要がある。

まずは、エクストリームフロッグのクリア/ピンクグリッター+ダブルブレードをセレクトした。ロッドはウィップラッシュのXSR705SX、リールはカルカッタ400、ラインはPE10号をセット。

岸際からスローにストップアンドゴーでチェックし、池の中央部のハスのエッジ、ウキクサやヒシの複合エリアまで広範囲に、出るならここだろうというポイントをチェックするが、全く反応が無い。

捕食も無く、雷魚の気配も無いため、15分くらいで次のフィールドに移動した。


次のフィールドは数年前に大規模に護岸の改修工事を受けてしまった野池だが、ヒシはきれいに張り、雷魚も数は減ったもののまだまだ残っている。台風の影響で水位が上がり、その影響でヒシのカバーの密度が下がり、フィールドの全域で広範囲に攻めやすくなっていた。ここは距離があるので、エクストリームフロッグに8.8gのタングステンウェイトを乗せた23g仕様+ダブルブレードのクリア/パープルグリッターをセレクトし、ウィップラッシュXSR711XXとABU6500CSロケット+PE8号をセットした。

ここもスローにストップアンドゴーで変化のある場所を丁寧にチェックしていくが全く反応が無い。捕食は見られるので雷魚の活性は高いようだ。しかしながら、捕食しているのは小型の雷魚で、水面に接近するトンボに反応している様子だった。

捕食のあった場所を狙い撃ちしてみたが、捕食後の雷魚は直ぐに移動をしているようで、捕食跡を狙い撃ちする作戦も上手くいかない。

このフィールドでは捕食が見られたので、30分くらい費やしたが、結局は1回もアタックを取ることができなかった。


気温も上昇し、風も収まってきたので、そろそろ今回の本命フィールドに向かうことにした。今回はこのフィールドを攻めるためにやって来たと言っても過言ではない。昨年はフルオープンだったが、今年はヒシがキレイに張り、いかにも出そうな雰囲気になっていた。

このフィールドも台風による増水でヒシの密度が下がり、風によってヒシのカバーが寄せられて、適度なオープンスペースが形成されている。

今日の状況では、何発も出るようなこともないだろう。数少ないアタックの、一発を確実にものにしたいので、シルエット効果の高いカラーということで、フロッグはエクストリームフロッグのブラック/シルバーラメ(クリアをマッキーで内側から塗装)のダンゴ(アトラクター無し)をセレクトし、近距離のオープンスペースから丁寧にチェックを始めた。

小魚などのベイトフィッシュが水面近くに見られ、雷魚も水面に興味があるように思われる。オープンスペースに隣接するヒシのカバーの、ここぞという変化のあるポイントを、垂直浮きに改造したエクストリームフロッグでじっくりとフロッグを見せるようなアクションで探っていくが、全く反応が無い。

1時間ほど集中して時間を使ったが、ショボイアタックを1回取れただけだった。とりあえず、雷魚がフロッグに反応したのだが、このまま粘っても雷魚をキャッチできるような気がしない。残念ながら移動することにした。


昨年好調だったフィールドや、盛夏に釣果のあった場所を全て回ったが、台風による増水、インレットからの大量の土砂の流入などで水の色がコーヒー牛乳のようになっていたり、ヒシのカバーが風で寄せられて超ヘビーカバーになり、そのまま茶色く枯れて沈みかかっていたりと、回った全てのフィールドがダメだった。

昨年から大型狙いでフィールドを回っていたため、どうしてもフィールドの規模が大きく、天候の影響を大きく受けている。

これから回るフィールドは、規模が小さく、インレットの規模も小さく、できるだけ窪地にあって風の影響を受けにくいフィールドに絞って回ることにした。

午後一に入ったフィールドは、護岸が古く、フィールド全域にヒシのカバーがある。厚いカバーもあれば適度なオープンスペースもあり、ヒシの状態も、この時期にしては良好だった。山に囲まれ、周りは田んぼと畑。他の雷魚マンにも会わず、いかにも田舎にある雷魚池という感じで、雰囲気は抜群だった。

「こんな雰囲気の中で雷魚釣りができるだけでも気持ちがイイ」

と素直に感じられる、そんなフィールドだった。

太陽が高くなるにつれ、気温も上がり、所々で捕食が見られるようになった。しかし・・フロッグへの反応は無い。池を一周し、南側のカバーが一番厚くなっている場所に差し掛かり、ここでダメなら移動しようと思っていたとき、エクストリームフロッグの左側から大きな背中を水面に出しながら大型雷魚がアタックした。

「ウオーッ!」と小声でうなり、フロッグを確認すると無常にも食い込んでいない。こういった横から圧し掛かるようなアタックの場合は雷魚が勢い余ってどこかに行ってしまうことが多いが・・念のために2発目を誘ってみる。しかし、反応は無かった。

その後もそのアタックのあった場所を中心にフロッグで探ってみたが全くダメだった。


次のフィールドはハスとヒシ、ウキクサのある小規模な野池。正午を過ぎていることもあり、ウキクサのエリアに浮遊する雷魚を狙い、シルエット効果の高いブラックのエクストリームフロッグで速めのストップ&ゴーでハスのエッジ、ヒシとの混生エリアなどを探るが、ここも全くダメ。

護岸沿いを歩きながら30mほど先のハスのエッジ付近を重点的に探るが、これもダメ。一通り流し、北側の端のオープンスペースにあるヒシのカバーを速いテンポで通した時に待望のアタックが出た。

豪快な捕食音とともにフロッグが消えたこともあり、送り込まずに間髪入れずにアワセを入れ、フックアップに成功。60cmクラスの雷魚だなと寄せていた時にバレてしまった。


大型台風の直後のタフコンディションであったが、雷魚が居れば比較的簡単に喰ってくるような気がして、その後の釣果に期待していたが、実はこれが大きな間違いだった。

この雷魚をバラした後、その日の午後はノーアタックでボウズ。その翌日は、前日の反応のあったフィールドを軸に何箇所も回ったが、丸一日ノーアタックでボウズ。更に、最終日の午前中もノーアタックが続くという、非常に厳しい状況になった。

秋のフィールドはシーズン中に受けたプレッシャーによりフロッグにスレてしまっていることや、台風や大雨によるフィールドコンディションの大きな変化により、速いテンポの釣りには雷魚が反応しない。つまり、ラン&ガン的な攻略では歯が立たない。シーズンを通してフィールドの状況をよく理解し、攻略するフィールドを絞り込んで、できるだけスローな釣りを展開する必要がある。

できるだけ厚いカバーの中にある小さなスポットにダーク系カラーのフロッグを投入し、シェイキングやロングポーズを多用する釣り方がいいだろう。


午前11時をまわり、あと一時間で帰路に着かなければならない。最後の一箇所ということで、どこに行こうか思案しながら車を運転していたところ、地図にマーキングもしていない小さなフィールドの横を通過した。運転席の窓越しに見ると、池の中央部にヒシのカバーが見えた。

一旦は通り過ぎたが、気になったので車をバックさせて戻り、どうせダメだろうと思ったのでエンジンをかけたまま、ロッドだけを持ち、道路脇から2−3投だけしようと車から降りた。

池の中央部のヒシのカバーをめがけてロングキャスト。フロッグがちょっと右に逸れた。そのままサミングして着水させると同時に「ドッカーン!」と大きなアタックが出た。

マジ?と首を傾げ、2発目を誘おうと思ったがフロッグがカバーに引っかっていた。一度食い込んでから吐き出したみたいだった。

これはいけるかも?ということで、車に戻り、エンジンを切り、バッグを持って先ほどの場所に入った。

それから1時間、約10発のアタックがあり、70cmクラスを頭に3本をキャッチすることができた。フロッグが消えた3発を100%の確率でフックアップさせたが、アタックの多くは不発となってしまった。

カバーの厚い部分でアタックが出ることや、距離があるためにアタックのあった場所にフロッグを再投入できないことが敗因だった。


約2日間ノーアタックが続いた後に、たった1時間という短い時間だったが、時を忘れるほどエキサイティングな瞬間を経験できた。大型雷魚こそ出なかったが、約2日間ノーアタックが続いていた状況を考えれば、これ以上のことを望んではいけないと思った。

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