Technique B-3
Strong in Midsummer - 盛夏の攻略法
梅雨明け宣言が発表され、朝から汗ばむような本格的な夏が訪れると、フィールドコンディション(水温、水量、カバー)も安定し、雷魚の動きも活発になる。
ヒシの葉は立ち上がり、密度も濃くなったカバー、30度を越える気温など、攻略は決して楽ではない。しかし、この短い暑い夏こそがカバーゲームを実感できる最適なシーズンと言えよう。
猛暑、灼熱、炎天下・・・神経が麻痺してしまいそうな過酷な状況のもと、豪快な捕食音に誘われ、修行僧のような苦悶に満ちた表情でロッドを振り続ける。

1)フィールド状況

2)フィーディングタイム

3)プレッシャー

4)盛夏の傾向

5)ピンスポットシェイキング

  a-狙いを絞る

  b-ラインテンション

  c-フロッグ

  d−攻め続ける時間

1) フィールド状況
シーズン序盤、梅雨時期の攻略でも述べてきたが、フィールドの状況はその年の降水量や日照時間といった気象状況で異なる。特にカバーの状態はこれらの気象状況以外にも、水質や水量の影響を受ける。一般的には、カバーの状態や水質が例年良好なフィールドであれば、そのフィールド状況は安定していると言える。
また、梅雨時期に不調であったフィールドは盛夏には復調に向かうケースも見られるが、カバーが腐敗し、枯れてしまうケースもあり、カバーのコンディションはフィールドやその年の気象状況によって差が出る。
自分の軸とするフィールドについては、その年のコンディションをしっかりと把握しておくことは言うまでもないが、開拓フィールドに関しては、梅雨時期の長さや降水量、台風の影響などを考慮に入れてフィールドコンディションの変化を予測し、ベストな時期に釣行できるようにしたい。
2) フィーディングタイム
最高気温が30度を越える真夏日が続くようになると、捕食活動は朝夕に集中するようになる。そして、曇天や雨天で無い限り、日中は単発のバイトに終わるケースが多くなる。冷房の効いた場所へ逃げ込みたくなるような炎天下にバイトが連発するような状況は極めて稀と言えるだろう。

時として、夕立や通り雨など突然の天候の変化や、連続した真夏日の間に訪れるちょっとした天候の崩れは、幸運をもたらしてくれることがある。雨雲が空を覆い始め、雲行きが怪しくなり始めた時など、一時的な天候の変化は突発的に雷魚の活性が上がり、バイトが集中するケースがある。これらは、その状況ごとに差があるが、梅雨時期同様に、天候の変化が「何か」をもたらすのであろう。
真夏日が続くような盛夏の場合、こういった天候の変化は見逃せない絶好のチャンスとなる。

3) プレッシャー
近年の雷魚ゲーム、特にハイプレッシャー化したフィールドにおいては漠然としたキャストやセオリー通りの単純な攻め方では釣果を伸ばすことが難しくなっている。また、同じ場所でキャスティングを過度に繰り返すことは、確実に釣果に影響を及ぼしていると考えていいだろう。
実際にフィールドで見かける人の多くは攻め易いライトカバーエリアや見た目の変化に富んだ「いかにも」というポイントを集中して攻めているように感じる。しかも、同じポイントを長時間に渡って単調に攻め続けていることも多い。

確かに、粘り続けていれば好結果が出ることもあり、近年のような、どのフィールドもハイプレッシャー化してしまった状況下で雷魚を釣る為には必要なことかもしれないが、釣果というよりもフィールドの将来を考えて、極力プレッシャーを与えないように心掛けることも必要だ。

4) 盛夏の傾向
水生植物の繁殖がピークに達する頃になると、特にハイプレッシャー化したフィールド(ここではヒシのカバーと想定)では、ヒシの境界線(葉が立ち上がったエリアとの)から薄くなっているエリアやオープンとのエッジなど誰もが狙いを付け、容易に攻め易いエリアには雷魚が着きにくくなっており、セオリー通りの攻め方には反応しないケースも多い。
特に盛夏になるとヒシの葉が立ち上がったエリアに雷魚が着く傾向があり、このエリアに着く雷魚をいかにして喰わせられるかがポイントとなる。そしてその攻略の良否が釣果の差となって表れる。その際の有効なテクニックの一つがピンスポットシェイキングだ。粘りと辛抱を要し、一見非効率に思われるが、こういったヘビーカバーを攻略する際には絶大な効果を発揮するケースがある。
5) ピンスポットシェイキング
ピンスポットシェイキングはその名のとおり点で釣る釣法。すなわち、広範囲を広く探りながら線で釣る釣法のようにフロッグをキャストし&リトリーブすることによって雷魚の居場所を見つけ出すのではない。そのため、キャストする前に自分の目、耳はもちろん、経験からくる直感で雷魚の居場所を見つけ出す必要がある。
a-狙いを絞る
ピンスポットシェイキングをする場合、

1.捕食やカバーの動きを見つけて狙い撃つ(スナイピング)
2.ポケットやカバーの隙間を狙った迎撃(インターセプティング)

狙い方はこの2つに分けられるが、雷魚の気配が感じられないケースでは、超デッドスローなアクションでカバー上で探りを入れ、反応(チェイスやバイト)した雷魚に対してフォローアップ的に狙う方法としても有効だ。

この釣法は、1点に集中して狙うため、そこに雷魚がいるという何らかの根拠めいたものがあるか、「ここで出る」という確信がないと耐えられないだろう。また、点で釣る釣法のため、線で釣る釣法に比べてリスクが高いことも頭に入れておく必要がある。

a-1.捕食やカバーの動きを見つけて狙い撃つ(スナイピング)

一般的に捕食で空いた穴や、その動きのあったポイントを直撃し、シェイキングでバイトを誘う。しかし、フロッグを潜り込ませるスペースが無い状態では、仮にバイトを得られたとしてもフックアップできる確率は低い。そのような場合は、その動きのあったポイント周辺に目を配り、隣接して存在するポケットなどフロッグを滑り込ませられるスペースを探し出して、そこでバイトを誘う方法が効果的だ。また、スペースが見当たらない場合は、バイトを誘発させ、その開いた穴で再度バイトを誘うという方法もある。
特にヘビーカバーにおいては雷魚は捕食などの動きのあったポイント付近にスティしているケースが多く、カバーの濃淡にかかわらず、捕食後にその付近のカバーで動きが見られるケースも多いので、捕食跡だけに気をとられるのではなく、雷魚の「次の動き」を見逃さないように注意深く観察することも重要となる。

a-2.ポケットやカバーの隙間を狙った迎撃(インターセプティング)

カバーのポケットやスペースなどのピンスポットに狙いを絞り、シェイク&ポーズを繰り返す。ポケットなどにやってくるであろう雷魚を迎え撃つこの釣法は、長いときには10分以上誘い続けることもあり、上記1のように明確に雷魚の気配が感じられないため、かなりの忍耐力を要し、更には高いリスクを負うことになる。しかし、この釣法はセオリー通りの攻めに反応が見られない場合に効果的だ。私自身、周りが沈黙する中、この釣法で数々の良型をキャッチしている。


b-ラインテンション
この釣法の重要なポイントの一つがラインテンションだ。ラインが張り過ぎていると雷魚がフロッグを持ち込めず、すっぽ抜けの原因となり易い。逆に、ラインを緩め過ぎるとラインから感じる感覚が鈍くなり、雷魚がフロッグを持ち込んでいるかどうかの判断がつき難くなる。また、ラインを緩め過ぎていると、フックアップ後にカバーに潜り込まれる確率が高くなるのは言うまでもない。
特にフロッグをカバーに滑り込ませて誘っている状態でのバイトの状況をいかに的確に判断できるかが重要だ。これについては、フロッグと釣り人との距離やアングルによって様々なケースが存在するので説明が難しいが、適度なテンションを常に維持しながらフロッグにアクションを加えるということだ。

c-フロッグ
c-1.フロッグの選択

フロッグの選択もバイトを誘発させたりフックアップさせるうえで重要だ。基本的にはカバーの隙間に滑り込ませ易いスリムタイプが適切だと言えるが、注目すべきはサイズだ。

(ビッグサイズ)
大きなシルエットは視覚的に、重いウェイトはヘビーカバー下の雷魚に対してフロッグの存在を強くアピールする。しかし、カバーの密度が高く、スペースがほとんどない状況においては、カバーの隙間に滑り込ませ難く、バイトが得られたとしても持ち込めないケースも多い。

(スモールサイズ)
カバーの隙間に滑り込ませ易く、フックアップ率は高いが、ウェイトが軽いためにヘビーカバー下の雷魚へのアピールや遠距離へのアプローチはビッグサイズに劣る。また、ウェイトが軽すぎると密度が濃いカバーにおいてはカバーの隙間にフロッグを滑り込ませることが困難になる。

それぞれに長所短所があるため、フィールド状況に応じて使い分けるようにする。フロッグのカラーについてはシルエットのはっきりするダーク系がいいような気がする。

c-2.フロッグのアクション

私の場合、微振動シェイキングをメインとし、シェイクとポーズの割合は2:8もしくは3:7といった感じだ。余談だが、雷魚は捕食が上手い魚ではないが、彼らは我々の想像以上に水面の動き(特にベイトの動き)に敏感で、立ち上がった高密度のヒシの隙間で静止している甘納豆ほどのカエルや水面に卵を産み落とすトンボまでも見逃さずに捕食しているのだ。

特に雷魚の気配はするが、なかなかバイトを得られないような状況下においては派手なアクションよりも、微振動が極めて効果的なアクションとなる。


d-攻め続ける時間
どのくらいの時間、狙ったスポットを攻め続けるか・・・?これは非常に難しく、結論から言えば明確な解答はない。

バイトはキャスト直後というケースもあれば、10分以上経過してからというケースもある。その日、その時の状況から判断していくほかないだろう。


バスフィッシングのように、状況に応じてアンダーウォーターの各レンジをルアーを変えながら攻略するのとは違い、ヘビーカバーをフロッグで攻めるという単一の条件下においては、変化する気象状況やフィールドのコンディション、雷魚の活性に応じて攻略するのは非常に難しい。そんな不自由な釣りだが、自分なりに考え、様々なテクニックを取り入れることによって、攻略法のバリエーションが増える。ほんの少し、視点や考え方を変えることによって新たな発見があるだろうし、それが結果として表れるだろう。

近年では雷魚のカバーゲームを最も体感できるシーズンであるべきはずの季節が、最も釣るのが難しい時期になったような気がする。水抜き、網入れ、護岸の改修工事によって減りゆくフィールド、そして残ったフィールドへは早期からのフィッシングプレッシャー。そして容易にフィールドの情報を公開してしまうメディアによる追い討ちによって、ヘビーカバーになる時期には既にフィールドはハイプレッシャー化してしまい、「これぞ雷魚」と思える真夏の豪快なカバーゲームが年々楽しめなくなってきている。

パラダイスと呼べるフィールドがまだ日本のどこかに存在しているかもしれないが、このままではやがて無くなってしまうだろう。既に非常ベルは鳴り響いているのだ。しかし、その音はごく一部の人にしか届いていないようだ・・・。一人一人のフィールドに対する配慮がテクニックよりも大事であることを付け加えたい。

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