Realities of fishing field Part2 December 2001
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By Morishin
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水抜きの状況をどうしてもこの目で確かめたかったので、年の瀬も押し迫った12月の終わりにAkiと2人で出掛けた。
そんな時、
釣りのできないこんな時期に何しに行くのか?
そんなの見てどうするのか?
金の無駄ではないか?
と多くの人に言われた。確かにその通りである。しかし、フィールドが減少の一途を辿っている今の雷魚ゲームにおいては、「釣れなければ行かない」「釣りができないなら行かない」「そんなの見ても何の得にもならない」という意識は捨てなければいけない。
この釣りを長く楽しむためにはフィールドの現状を理解し、雷魚ゲームに対する考え方を変えていかなければと思う。
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通い慣れたフィールドを周ったが、池の水は枯れ果てており、魚が生き残っているとは思えない状況を目の当たりにした。
人が歩いても平気なほど硬く乾いているところもある。かろうじて湿り気があったとしても数ヶ月後にはカラカラに乾く。
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昨年の秋に徹底した水抜きと網入れを行い、雷魚を根こそぎ駆除したフィールドが今年も水抜きされた。
広大なフィールドにも関わらず、水は完全に抜けきり、取水口へ流れ込む水によって川ができている。
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取水口付近に溜まったヘドロの中に無数の魚の死骸と数匹の生き延びた大型雷魚を見つけた。小型雷魚のほとんどが死に絶えていた。また、鯉やフナなど空気呼吸ができない魚は既にヘドロの中に沈んでいる。
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取水口に吸い込まれた雷魚や鯉などがミイラ化して詰まっている様は形容する言葉が見つからないほどショッキングな状況だ。
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岸沿いに無数に散らばる雷魚の死骸は網入れ後に殺されたものだろうか。
これら雷魚の死骸の後方にはおびただしい数のフナなど小魚の死骸がある。
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生きている魚を見殺しにはできないので、ビニールとカッパ(泥を浴びないように)を購入し、救出する。雷魚の他に、ひっくり返って起きられなくなっているカメやカエルを助けてやった。
フィッシュイーターを駆除する池の管理者の行為を我々が否定することはできない。しかし、長年通い慣れたフィールドでこのような惨劇を目の当たりにしてしまうと非常に複雑な心境になる。
ここまでやる必要があるのだろうか?
なぜここ最近になってこれほど徹底して駆除をするようになったのだろうか?
護岸や堰堤を水圧から保護するため、または養殖魚の捕獲のために冬場に水を減らすことは過去何十年も繰り返されてきていたようだが、雷魚以外の魚までも犠牲にした徹底した水抜きをするようになったのは明らかにここ2−3年以内だ。
ルアーブームと重なるこれらの状況は何を意味するのだろうか?
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重機が入り池の底を浚渫しているようだ。しかし、この池は昨年も同じ工事をしていたので、堆積したヘドロを除去しているとは考え難い。無意味な工事ではないか?年末の予算消化のためにオニバスの群生するフィールドがまた一つ犠牲になった。
自然と共存していくために公共事業を行うことはできないのか?
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水は全部抜けきれないだろうと思っている人もいるかもしれないが、自然に抜けきれなかった水は排水用の溝を掘り、更に排水ポンプを使って最後の1滴まで抜き取られる。
そこに住む魚や植物のことを一切無視した作業は埋め立てと変わらない。一度で終わる埋め立てではなく、池の形で残しておけば何年間も公共事業として金が落ちるので都合がいいのだろう。最低だ。
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ところどころ黒く見えるのはオニバスの葉が枯れた跡。
ひび割れ、カラカラに乾いてしまっているが来年も綺麗な葉で水面を覆ってくれることを願う。
河口堰など大掛かりな工事は多くの人が耳にする環境破壊問題だが、こういった小さな規模の環境破壊は誰も知らないところで無数に行われている。
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ここも広大なフィールドだが見事に干上がっていた。そして堰堤近くに巨大なスロープが作られており、重機がなにやら作業をしていた。
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この現場を見て私とAkiは言葉を失った。90アップをはじめ多くの雷魚を釣った思いで深いフィールドが埋められていく・・・
いてもたっても居られない私は工事をしている人に詳しい話を聞いた。するとこういうことだ・・・
1:埋め立てて田んぼにするというのが表向きの目的だが、本当は「建設残土の処理」をするた
め。この建設残土は道路工事や建築現場などで発生した残土のことで、今までは人目につ
かない山奥に捨てられていたのだが、それが問題化したため合法的に処理できるようにこの
ような埋め立てが実施されるようになった。
2:池の埋め立てだけにとどまらず、左右の丘の高さまで土を盛る。そのために向こうに見える
家も立ち退きをするらしい。運び込まれる残土の量は400,000立方メートル。10t車で毎日
200台分運び込んだとして約1年で埋まる。
また、水抜きをした時に網入れをしたが雷魚はほとんど捕獲されなかったらしい。また、水草を除去するために入れられたと言われていた草魚についても獲れなかったそうだ。ここ数年ヒシが張らなくなってから、棲息する魚の種類が減り、アメリカザリガニすらほとんど見かけなくなったと言っていた。
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私があまりにもしつこく聞くので埋め立て関係の書類を見せてくれた。作業をしている人は会社から言われたことをしているだけだし、自然がどうのこうのという話には全く関心がない。
魚や水草が無くなることによって影響を受ける人など我々意外にいないし、しかもそれらが無くなったことで生活に影響を及ぼすことなどない。
でもそれでいいのだろうか?
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2001年があと1日で終わり、新しい年が始まる。
何事も無かったように春が訪れ、いつもと同じように釣りに出掛ける。
そしていつもと同じフィールドでフロッグを投げる。
たった一つ違うのは雷魚ゲームに対するスタンス。
あきらめている訳でもないし、悲観的になっている訳でもない。
植物を食い尽くしては移動を繰り返すバッタの大群のような釣り人にはなりたくないし、なってはいけない。釣れなくなったら釣れるところへ行けばいいという考えは捨てなければいけない。
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