What made his mind changed ?
「今年の夏はどこ行こうか」

「XXXは?」

「そこは最近人が多いからいやだな。○○○は?」

「遠いなーそれ。何キロあるんだよ」

「でもたくさん釣れるって言っとったよ」

「どうせ小さいのしか釣れんだろう?」

「それはお前次第だよ」

「それにしても考えただけでも遠いなー」

「3人交代で運転すれば楽勝だよ」

「そうだよ、楽勝だよ」

毎年恒例の夏の遠征について幼なじみと話した後、私は本屋へ地図を買いに行った。そして、その目的地の地図を開いた瞬間に、先ほどまで心の中を覆っていたどんよりとした曇は一気にどこかへ行ってしまい、明るい光が射し込んできた。なぜなら、その地図の中には道路と同じ、いやそれ以上の数のクリークがあったのだ。それもページというページにだ。

「こりゃすごいな」

楽しい夏休みになりそうだなと、行く前から確信が持てた。


まだ薄暗い早朝に到着し、さあゆっくりタックルをセットしようかなと思ったのは私だけのようで、他の2人は既にタックルのセットが完了していた。

どうやら、最後に運転していた私をよそ目に彼らは後部座席でタックルをセットしていたようだ。

「汚ねーぞ!」

そんな私を無視してキャストした彼の1投目にいきなりアタックが出た。

「出たよ」

「嘘だろ!」

「本当に出たって」

そしてその5分後に私が一番先に雷魚を釣った。たったの3投で釣れた。

その後は2人同時に釣れたり、フロッグを外している間もないほど次から次へと雷魚が浮いて来ては投げ込むフロッグを食ってきた。しかもキャストをミスって雷魚から2mくらい離れてしまっても、派手に動かしてやりさえすれば雷魚はフロッグに飛び掛かってきた。ワイワイ大騒ぎしていても関係なく釣れた。

「初日の朝からこんなんだったら3日間やったらどうなっちゃうんだろう」

と3人ともホクホク顔で話しをした。そして、極めつけは「必ず釣れる場所」があった。

あるクリークの角にあるヒシのカバーには必ず雷魚が着いており、そこを訪れる度に釣れた。

そのクリーク脇を車で通る度に「ちょっと待ってて」と言っては一人で車を降り、ロッドを持ってその角を攻めた。そして釣れた。

「うひゃひゃひゃひゃ。俺、住所知ってんだ」

そんな調子で雷魚釣りを楽しんだ。そして、気の合った幼なじみと一緒に釣りに出掛けることが何よりも楽しかった。



あれから数年しか経っていないが、護岸工事や区画整理などによるクリークへの影響、ビデオを見て訪れる多くの人によるプレッシャーによってフィールドの状況は様変わりしてしまった。しかし、それ以上に残念なのは、一人の幼なじみが恒例の遠征に参加しなくなってしまった事だ。

フィールドの減少に伴ない、年々出掛ける距離が遠くなっている。その結果気軽に釣りに行ける状態ではなくなってしまったことが、彼が参加しなくなった理由の一つかもしれないが、もっと大きな原因は彼の気持ちの奥にあるような気がする。

遠征が必須条件となっている現代の雷魚釣りは、手軽な趣味とは言えない。また、今の雷魚釣りを取り巻く環境を考えると、時間、お金、労力を費やして遠征してもそれに見合う釣果の保証はない。しかし、私は気の合う友達と一緒に釣りに行ければそれでいいじゃないか?と思っているし、釣果以上のものがそこにはあると思うのだが…
フィールドの荒廃とともに友達関係が変っていってしまうのは残念でならない。
人それぞれの考え方や価値観があるので仕方ないと言ってしまえばそれまでだが、しかし私は彼がまたいつの日にか一緒に雷魚釣りに行ってくれることを期待している。

でもそれは「釣れるなら行く」「釣れないなら行かない」という考え方のままの彼ではなく、そこにあるもっと大事な事を見つけて成長した彼と一緒に行きたい。

「よぼよぼの爺さんになっても雷魚を釣りに行こう」と約束したのだから・・・


Yellow poppers

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