Imprinting
この雷魚釣りをやっている人の多くが30歳代で、若くても20代後半、上限は40代前半ではないかと思う。バス釣りのように下は小学生から、上は50代60代というような幅広い年齢層ではないことは間違いないだろう。

身近にフィールドがある地域では、少年達が雷魚釣りをやっていることはあるが、全国的に見ても稀だろうし、そういった地域でもバスの繁殖が強いので雷魚ではなくバスを狙っているケースが多い。また、そういった身近にフィールドがある地域であっても、40歳以上の高い年齢層になると、この雷魚釣りをやっている人は非常に少ないと思う。

身近にフィールドがなくなってしまったことによって、雷魚=遠征という図式になっており、車を所有していてしかも時間的な余裕と遠征費を捻出できる経済力が雷魚釣りには必要だから少年達にはできない釣りになっている。また、炎天下において田んぼ脇のクリーク野池で汗びっしょりになってヘビータックルを振り回すこの釣りは、汗臭くそして泥臭い。スポーツフィッシィングと呼ぶには相応しくないこの釣りはファッショナブルに決めようとする大人には受け入れ難い。こういった理由で、限られた年齢層の人たちだけで楽しまれていると考えるのが一般的だろう。



しかし、私は理由がこれだけではないと思う。

なぜそう思うのかと言うと、身近にいる20代、30代のルアー釣りが好きな後輩達が雷魚釣りに対して「私ほどの興味を示さない」し、40代以上の人になると雷魚はおろかバスにも興味を示さないからだ(フライにいく人が多い)。若い後輩たちは一緒に釣りに行けば、「こんなエキサイティングで楽しい釣りは他に無いですよ」と口を揃えて言うことはあっても、彼らが単独で雷魚を釣りに遠征することは皆無だし、ましてや開拓に出かけるなんてことは全く考えられない。

なぜだろう?

そんなに面白いなら、自分達で出掛ければいいだろうし、知らないフィールドがあれば行ってみたいと強く思うのが普通ではないか?フィールドだってある程度は教えてあるし、フィールド攻略のノウハウだって伝授してある。それなのになぜ行かないのか?

また、経済的な余裕があり、ルアー釣りに精通している大人であれば雷魚を釣りに出かけるなんてことは簡単なことだと思うのだが・・・



雷魚は特殊な釣りと言える。生活廃水に侵され富栄養化したクリークや野池の水面を覆い尽くすヒシやホテイアオイなど、お世辞にも綺麗とは言えないフィールドを求めて数千キロに及ぶ遠征をする。写真に撮っても美しくないグロテスクな魚体。そして多くの人はなぜそんな汚い釣りに熱中するのか分からないと言い、見るからにルアーマンの心を揺さぶらない機能を重視した無骨なタックルとコレクションアイテムには成り得ないゴムのフロッグを数多く買っている我々は、雷魚釣りをやらない人からすれば、その魅力とやらは一体どこになるのか見当もつかないだろう。

はじめは、後輩たちにこの雷魚釣りの醍醐味とも言えるカバーでのアタックやファイトを経験させてやれば、私同様にこの釣りの魅力にとり憑かれるだろうと思っていた。しかしそうではなかった。
いくらそれを経験しても、彼らは「釣果」に執着してしまいこの釣りの本質的な部分を理解するまで至らないのだ。

私は釣りを始めた小学生の時から雷魚を知っていたし、釣りたいという欲求を持っていた。それに、当時はバスが釣れるフィールドが限られており、子供だった私にとってはバスを釣りに行くことは相当な労力が要ったし、仮に行けたとしても全く釣れない魚だった。だから、自然と雷魚釣りに熱中していった。そして、近所のクリークや池に友達と一緒に雷魚を釣りに出かけていた。もちろん釣れるまでには相当な時間を要したし、釣行しても釣れることは稀で、毎回のようにボウズになっていた。こうした経験をするなかで、私は釣れるまでトライする忍耐や、釣れた時の喜びというものを幼い頃に学んでいたのだと思う。

もちろんそういった経験を共にした友人との友情や、フィールドの大切さというものも同時に学んだ。こうして、この雷魚釣りの面白さというものが幼少の頃に既に刷り込まれていた。



しかし、大人になってから釣りを始めた後輩たちにはそういった幼い時の刷り込みが無い。だから、後輩たちが強烈なアタックやファイトを経験したとしても、私のように熱中はしないのだ。遠征して開拓をしたり、釣れるかどうか分からないフィールドに出掛け、連日ボウズになるような釣行をすることは無い。そこまでして雷魚釣りをする情熱が湧かないのだろう。

そして、年配の人はその逆で、当時は雷魚なんてやらなくてもバス釣りに出かける手段があり、そのバス釣りの醍醐味に触れることで、雷魚釣りには興味が向かなかったのだろう。

だから、80年代当時に少年であり、尚且つ身近に雷魚が釣れるフィールドが存在していたという条件を持ち合わせていた人、つまり、現在30歳代で水田のある平野部に住んでいたことがある人が現在この雷魚釣りを楽しんでいる中心層にあたるのだと思う。

大人になってから釣りを始めた人は多い。特に数年前のバスブームの時から始めた人は非常に多い。ファーストムービングのプラグを投げれば釣れた時代から始まり、釣り易いワームの流行、ハイプレッシャー下でのフィネスフィッシングなど常に釣果だけを求めて釣りのスタイルは変化してきた。そして、その流れのまま雷魚釣りに入って来た人も多い。しかし、雷魚釣りはそういったスタンスでやる釣りではないし、それでは長続きしない。


バスの釣れるフィールドも減少し続け、琵琶湖での再放流禁止条例が施行され、釣果重視のトーナメントが否定されるようになれば、今までの日本のバス釣りのスタイルが根底から覆されることになると思う。そんな中、トップウォータープラグの釣りが流行している。釣果よりも雰囲気やスタイルを重視する釣りだ。

雷魚釣りにおいてもバスのトップウォーターのようなスタイルで楽しんでくれる人達が増えてくれればと願っているし、そういう面白さを伝えていかなければと思っている。


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